局所排気装置とプッシュプル型換気装置の違いは?メリット・デメリットも解説

局所排気装置とプッシュプル型換気装置の違い

有機溶剤や粉じん、ヒュームなどが発生する現場では、作業者の健康を守るために換気設備の設置が欠かせません。その代表的な設備が「局所排気装置」と「プッシュプル型換気装置」です。

どちらも有害物質の拡散を防ぐ目的で使用されますが、気流の作り方や設置方法、適した現場条件が大きく異なります。

本記事では、それぞれの仕組みや特徴、違いをわかりやすく解説し、自社に最適な設備選定のヒントをお伝えします。

目次

局所排気装置とは?

局所排気装置とは、作業中に発生する有害ガスや蒸気、粉じんなどを発生源の近くで直接吸引し、屋外へ排出する設備です。フード・ダクト・ファンなどで構成され、作業者が有害物質を吸い込む前に捕集することを目的としています。

労働安全衛生法や有機溶剤中毒予防規則などで設置が義務付けられるケースも多く、囲い式・外付け式・移動式など複数の種類があります。発生源をピンポイントで制御できる点が大きな特長です。

プッシュプル型換気装置とは?

プッシュプル型換気装置とは、送風機で清浄な空気を「押し出す(プッシュ)」と同時に、反対側で汚染空気を「引き込む(プル)」ことで、一定方向の気流を人工的に作り出し、有害物質を効率よく排出する換気方式です。

広い作業空間や発生源が固定しにくい現場に適しており、局所的に囲い込めない場合の対策として採用されます。気流制御により拡散を防ぐ点が特徴で、設計段階で風速や配置の検討が重要になります。

局所排気装置とプッシュプル型換気装置の違いとは?

有害物質対策の換気は「発生源を吸う局排」と「気流で運ぶプッシュプル」で考え方が違います。選定の軸を整理します。

空気の流れについて

局所排気装置は、フードで発生源近くの汚染空気を直接吸い込み、ダクトで屋外へ排出します。つまり「点」で捕集する方式で、発生源を囲えるほど効果が安定します。

対してプッシュプル型換気装置は、送風側(プッシュ)から清浄空気を押し出し、吸込側(プル)へ向かう「一定方向の気流」を作り、汚染物を流れに乗せて回収します。発生源が広がる作業や囲い込みが難しい工程で力を発揮します。

労基対応の性能要件について(制御風速)

局所排気装置は、発生源から漏れ出す前に捕集できるだけの吸引能力が必要で、フード形状や距離で必要風量が大きく変わります。

プッシュプルは、押し出しと吸い込みを組み合わせて「制御風速」を確保し、作業域全体で気流が途切れない設計が要点です。どちらも、現場条件に応じて測定・調整し、基準を満たす状態で維持することが重要です。設置後の点検や風速確認が不十分だと、形式が適切でも性能不足になり得ます。

コスト面での違いについて

局所排気装置はフードを発生源に近づけられるほど必要風量が小さくなり、機器容量やランニングコストを抑えやすい一方、ダクト取り回しやレイアウト制約が増えがちです。プッシュプルは作業域を覆う気流設計が前提となるため、送風・吸込の機器がセットになり、設計・調整費が上がるケースがあります。

ただし、広い工程をまとめて管理できれば、設備を分散させるより合理的になることもあります。総額は工程範囲と設置条件で逆転し得ます。

局所排気装置の種類

局所排気装置は「囲って逃がさない」か「近くで吸う」かで構造が分かれます。代表的な2タイプを押さえます。

囲い式

囲い式は、作業空間を箱状に囲い、開口部から室内へ漏れ出す前に内部の汚染空気を排気する方式です。ドラフトチャンバーのように、発生源を囲い込めるため捕集効率が高く、周囲への拡散を抑えやすいのが強みです。

一方で、作業サイズや搬入出の動線に合わせて寸法を確保する必要があり、設備が大きくなりがちです。開口部を広く取りすぎると性能が落ちるため、使用方法の統一や扉・前面サッシの運用管理も重要になります。

外付け式

外付け式は、作業点の近くにフードを設置し、発生源から立ち上がるガスや粉じんを吸引して排気する方式です。囲い込みが難しい設備や既設ラインでも導入しやすく、現場に合わせてフード形状を選べる柔軟性があります。

ただし、フードと発生源の距離が離れるほど必要風量が急増し、捕集が不安定になります。周囲の外乱気流(人の通行、扉の開閉、送風機)にも影響されやすいので、配置・気流・作業姿勢まで含めた調整が欠かせません。

プッシュプル型換気装置の種類

プッシュプルは、作業域を「気流で覆う」考え方の換気です。囲い込みの度合いで密閉式と開放式に整理できます。

密閉式

密閉式は、作業域をカバーや囲いでできるだけ閉じ、内部にプッシュからプルへ向かう気流を作って汚染空気を回収する方式です。外乱の影響を受けにくく、制御風速を安定させやすいのが特徴で、臭気や蒸気が周囲へ漏れ出しにくくなります。

設計上は開口部の大きさや作業時の出入口の運用が性能に直結するため、囲いの構造・扉の開閉頻度・材料搬入の動線まで含めて計画する必要があります。設備が大きくなる分、スペース確保が課題になりがちです。

開放式

開放式は、作業域を完全には囲わず、送風と吸引の配置で一定方向の気流を形成して汚染物を吸込側へ流す方式です。大型ワークや連続ラインのように密閉が難しい工程でも適用しやすく、作業性を確保しながら拡散を抑えられます。

一方で、気流が乱れると捕集が崩れるため、周囲の換気扇や空調、出入口の風、人の動きの影響を受けやすい点に注意が必要です。導入時は配置計画と現場測定で、作業域全体に必要な制御風速が出ているかを確認します。

局所排気装置のメリット・デメリット

局所排気装置は発生源近くで捕集する方式です。効果が出やすい反面、設置条件や運用で性能差が出ます。

局所排気装置のメリット

局所排気装置の強みは、発生源の近くで直接吸い込むため拡散前に抑えやすい点です。フード位置と囲い込みが適切なら、必要換気量を過度に増やさずに対策でき、室内全体の空調負荷も抑えやすくなります。対象物質が明確で発生点が固定の工程(秤量・調合・塗装・洗浄など)では、管理基準の達成と再現性が取りやすいのも利点です。

局所排気装置のデメリット

弱点は、フードと発生源の距離・外乱気流・作業姿勢で捕集性能が大きく変わることです。設備は付けただけでは足りず、風速測定と調整、定期点検、フィルタ管理が前提になります。ダクトの取り回しや設置スペースが必要で、既設ラインだと工事が大掛かりになりがちです。運用が崩れると漏れやすく、教育・ルール化まで含めて設計する必要があります。

プッシュプル型換気装置のメリット・デメリット

プッシュプルは送風と吸引で一定方向の気流を作り、作業域をまとめて管理する発想です。用途次第で効果とコストが変わります。

プッシュプル型換気装置のメリット

プッシュプル型は、プッシュ側から空気を押し出し、プル側へ流すことで作業域全体に制御された気流を作れます。発生源が広い、囲い込みが難しい、大型ワークで作業点が動く工程でも、気流に乗せて回収できるのが強みです。設備を点在させるより、エリア単位で換気を最適化できれば、作業性を確保しつつ拡散を抑え、現場の管理を一本化しやすくなります。

プッシュプル型換気装置のデメリット

課題は、気流設計の難しさです。空調の吹出し、出入口の風、人の移動などで気流が乱れると、制御風速が確保できず性能が落ちる可能性があります。送風・吸引のバランスや配置が重要で、設計・試運転の調整工数が増えがちです。密閉度を上げるほどスペースと設備規模が必要になり、開放式では外乱の影響を受けやすい点も、運用上の注意になります。

局所排気装置とプッシュプル型換気装置の価格・費用は?

費用は「装置本体+ダクト等の付帯+工事+保守」で決まります。ここでは日本の現場で多い構成の目安を整理します。

局所排気装置の価格相場

局所排気装置は、フード・ダクト・ファン・排気処理の有無で幅があります。小型・卓上や簡易フード中心なら50万〜200万円前後、本格的にダクトを引き回し複数箇所をまとめると200万〜800万円超も珍しくありません。

さらに防爆・耐食、活性炭などの排気処理、騒音対策、制御盤追加があると上振れします。最終的には必要風量とダクト条件が価格を左右します。

プッシュプル型換気装置の価格相場

プッシュプルは送風・吸引のセット構成になり、エリア設計と調整が前提のため、局排より初期が大きくなりやすい傾向です。小規模エリアでも300万〜1000万円前後、ライン全体や広い作業域を対象にすると1000万〜3000万円超まで広がります。

囲い(密閉度)を高めるほど設備規模が増え、風量確保や整流のための部材追加が費用に反映されます。

工事費・ランニングコストの違い

工事費は、局排はダクト経路・貫通・屋上立上げの難易度で増減し、プッシュプルは送風側の整流・配置調整も含めて設計工数が乗りやすいです。ランニングは主にファン電力とフィルタ交換で、必要風量が大きいほど上がります。

局排は発生源を近づけられれば風量を抑えやすく、プッシュプルはエリア規模次第で風量が増えやすい一方、複数局排を乱立させるより合理化できる場合もあります。

局所排気装置とプッシュプル型換気装置の選びのポイント

選定は「何が・どこで・どれだけ発生するか」を起点に、法令要件と現場条件を噛み合わせるのが近道です。

対象物質と発生源の形状で選ぶ

有機溶剤蒸気や粉じんなど、発生源が固定で捕集点を近づけられるなら、局排が基本です。反対に、発生点が広い・移動する・大型ワークで囲い込みが難しいなら、プッシュプルで気流として回収する発想が合います。発生量が多い工程では、排気処理(活性炭、スクラバー等)の要否も含めて方式を決めると手戻りが減ります。まずは発生源の「点・線・面」を言語化するのが重要です。

開放面の広さと気流設計で選ぶ

開放面が大きいほど、局排は必要風量が増えやすく、外乱で漏れやすくなります。作業性のため開口を広く取らざるを得ないなら、プッシュプルで一定方向の流れを作り、漏れを抑える選択肢が現実的です。ただしプッシュプルも外乱に弱いため、空調吹出し位置や扉の気流、作業動線まで含めた「気流の設計図」を作れるかが成否を分けます。

法令基準との関係で選ぶ

法令上は、必要な性能(例:制御風速の確保)を満たし、測定・記録・点検で維持できることが重要です。局排はフード条件で性能が変動しやすく、プッシュプルはエリア内の気流が途切れると基準未達になり得ます。どちらを選んでも、設置後の風速測定、定期自主点検、変更時の再調整が前提です。「設計で満たす」だけでなく「運用で守れる」方式を選ぶと監督対応が安定します。

将来のレイアウト変更で選ぶ

頻繁に設備配置が変わる現場では、ダクト固定の局排は移設コストが重くなりがちです。移動式や簡易フードで対応できるなら局排でも柔軟性は出せますが、変更が多いならプッシュプルでエリア管理する方が全体最適になる場合があります。逆に、工程が固定で長期運用なら局排で発生源を確実に押さえ、風量を抑えて省エネ化する考え方が有利です。更新計画まで含めて比較します。

これから設置するなら発散防止抑制装置もおすすめ

ダクト工事が難しい、局排の設置が現実的でない場合は「代替措置」という選択肢があります。要件とメリットを整理します。

発散防止抑制装置とは

発散防止抑制装置とは、局所排気装置の設置が困難な状況で、吸着・分解・囲い込み・気流制御などにより作業環境の安全性を確保できる代替設備を整備し、必要な手続きのもとで運用する考え方です。ポイントは「装置名」よりも「結果としてリスクを下げ、基準を満たし続けられるか」です。導入時は対象物質、作業方法、測定計画、維持管理体制まで一体で設計し、後から破綻しない仕組みにします。

発散防止抑制装置のメリット

最大の利点は、ダクト引き回しが難しい現場でも、対策の道を作れることです。吸着・分解装置や囲い込み、気流制御を組み合わせることで、工程の制約を大きく変えずにリスク低減を狙えます。設備の自由度が高く、局排を無理に設けて性能不足になるより、測定と管理を前提に「実効性」を確保しやすい場合があります。一方で、要件整理と維持管理が重要なので、設計段階から運用ルールまで作り込むことが成功条件です。

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