移動式(ポータブル)局所排気装置とは?価格や選び方のポイントを解説

移動式局所排気装置とは

移動式局所排気装置は、溶接ヒュームや粉じん、溶剤臭などの有害物質を発生源の近くで吸引し、作業者のばく露を減らすための設備です。キャスター付きの本体と可動アーム(フード)、ファン、フィルターで構成され、工事が難しい現場でも導入しやすい点が魅力です。

一方で、性能は「どれだけ発生源に近づけられるか」「外乱気流の影響を受けないか」で大きく変わります。

本記事では、移動式の基本、必要になる作業例、メリット・デメリット、価格感、選定のポイントまで、現場で失敗しない観点で整理します。

目次

移動式局所排気装置とは

移動式局所排気装置は、作業場所に合わせて機器を移動し、発生源付近で汚染物質を捕集する局所排気の考え方を、可搬型の機器で実現する装置です。フードで吸込み口を発生源へ近づけ、ファンで負圧をつくり、フィルターで粉じんやヒューム、臭気成分を捕集します。

固定ダクト工事が不要なため、期間限定の作業やレイアウト変更が多い工場、設備更新が難しい現場で採用されやすいのが特徴です。反面、フード位置が遠いと捕集できず、フィルター目詰まりで風量が低下しやすいので、運用ルールと点検が重要です。

移動式局所排気装置が必要になる作業と現場例

移動式は、固定式の設置が難しい現場で、発生源が動く・複数工程で共有したいケースに有効です。代表的な作業例を整理します。

溶接ヒュームや研磨粉じんが出る作業

溶接や切断では金属ヒュームが発生し、研磨やバリ取りでは微細な粉じんが舞いやすく、呼吸器へのばく露リスクが高まります。移動式は、作業点の近くへフードを寄せて捕集できるため、設備を固定しにくい多品種少量の現場に向きます。

ポイントは、火花や高温粒子に耐える構成、火災リスクに配慮したフィルター設計、外乱気流を受けにくいフード形状です。作業者の姿勢やワーク位置が変わる工程では、可動域と保持力も重要になります。

有機溶剤や塗装ミストなど臭気が出る作業

脱脂洗浄や接着、塗装・スプレー工程では、有機溶剤蒸気やミストが発生し、臭気だけでなく健康影響や近隣への拡散問題にもつながります。移動式は、局所的に対策したいスポット工程で使いやすい一方、溶剤は室内循環が不適合になるケースがあるため、排気方式の選定が重要です。

活性炭などの吸着材を使う場合も、飽和すると性能が落ちるため交換管理が必須です。作業量の変動が大きい現場ほど、風量とフィルター構成の見極めが差になります。

はんだ付けやレーザー加工の煙・微粒子

はんだ付けではフラックス由来の煙が発生し、レーザー加工では樹脂や塗膜の分解生成物、微粒子が出ます。これらは目や喉への刺激になりやすく、室内に滞留するとクレームや設備汚れの原因にもなります。

移動式は、作業台に合わせてフード位置を調整できるため、セル生産や試作ラインに適します。選定時は、対象粒子に対応するフィルター等級、臭気成分に応じた吸着材、静電気対策の有無を確認し、吸込み口を“邪魔にならない距離”に保てるレイアウトを作ることが大切です。

期間限定の作業場所やレイアウト変更が多い現場

設備更新や保全作業、増設ラインの立上げなど、作業場所が一定でない現場では、固定式のダクト工事が現実的でないことがあります。移動式なら、必要な期間だけ持ち込み、工程が終われば別の作業へ転用できるため、投資のムダが出にくいのが強みです。

特に、複数の小規模発生源が点在する工場や、テスト工程が多い現場では効果が出やすいでしょう。ただし、移動のたびに設置距離が変わると性能も変動します。設置ルールの標準化が、実効性を左右します。

移動式局所排気装置のメリット

移動式の価値は「工事レス」と「柔軟性」です。使い方次第で、費用対効果を大きく高められます。

ダクト工事が難しい現場でも導入しやすい

固定式の局所排気装置は、ダクト配管や排気口の確保、建屋との取り合い工事がネックになりがちです。移動式は、本体を設置して電源を確保できれば運用を開始しやすく、工事期間や停止期間を抑えられます。

賃貸工場やテナント、天井・壁への加工が難しい施設でも検討しやすい点がメリットです。さらに、まず移動式で効果検証を行い、必要に応じて固定式へ段階的に移行するなど、投資判断のリスクを下げる使い方も可能です。

作業場所の変更に追従できムダが出にくい

生産ラインのレイアウト変更、工程の追加・削減、セル生産化など、現場は常に変化します。移動式は、装置を持ち運んで必要な場所へ配置できるため、固定設備のように“使われない設備”になりにくいのが強みです。複数工程で共有できるため、稼働率を高めやすく、台数を最適化しやすい点も評価されます。ただし、共有運用では「いつ・誰が・どこで使うか」が曖昧になると形骸化しがちです。運用ルールと責任者の設定が前提になります。

必要な工程だけ対策でき初期投資を抑えやすい

全体換気や大掛かりな固定式の設置は、初期投資が大きくなりやすい一方、発生源が限定的な場合は過剰投資になることもあります。移動式は、問題が起きている工程に絞って対策でき、段階導入もしやすいため、初期コストを抑えやすい傾向があります。

さらに、試作・立上げ段階で条件が固まっていない工程でも、移動式なら調整しながら最適点を探れます。小さく始めて改善を積み上げたい現場ほど、相性が良い選択肢です。

暑熱対策や臭気対策など複合課題に対応しやすい

局所排気は有害物質対策だけでなく、作業者の不快感や設備汚れ、周辺環境への臭気拡散といった複合課題にも効きます。移動式は、発生源の位置に合わせて吸引点を動かせるため、暑熱環境で“余計な換気”を増やさず、必要な場所だけ対策しやすいのが特徴です。

スポットで煙や臭気を捕集できれば、室内の空気質が安定し、清掃負担やクレームの低減にもつながります。狙う課題を明確にすると、機種選定もブレにくくなります。

移動式局所排気装置のデメリット

移動式は便利な反面、性能が“運用に依存”しやすい装置です。弱点を理解して対策までセットで設計します。

設置位置がズレると捕集性能が落ちやすい

局所排気は、発生源の近くで捕集するほど効果が高く、距離が離れると必要風量が急増します。移動式は、作業のたびに設置位置が変わるため、フードが遠い・角度が悪い・外乱の風が当たると、吸っているつもりでも捕集できていない状態になりがちです。

対策として、設置距離の基準やフード位置の目印、作業姿勢に合わせた治具化を行い、誰が使っても再現性が出る運用にします。性能を“人任せ”にしないことが肝心です。

室内循環は物質によって不適合になりやすい

移動式には、捕集後の空気を室内へ戻す循環型もありますが、対象物質によっては適さない場合があります。有機溶剤蒸気や有害ガスなどは、吸着材の限界や漏れのリスクがあり、管理が不十分だと逆に室内へ再放散する恐れがあります。

循環型を選ぶなら、対象物質の特性、フィルター・吸着材の仕様、交換基準、監視方法まで含めて設計が必要です。安全側に倒すなら、排気経路を確保できるかも含めて方式選定を行うのが現実的です。

騒音・ドラフト・作業性のトレードオフがある

必要な捕集性能を確保するために風量を上げると、ファン騒音や風切り音が増え、会話や集中の妨げになることがあります。また、吸引による気流が作業者の手元に当たり、粉じんを舞い上げたり、作業性を下げたりするケースもあります。

静音性を重視しすぎて風量が足りないと本末転倒なので、騒音許容値と必要風量のバランスを取ることが重要です。導入前に実機デモで、音・風・邪魔にならないかを確認するのが失敗を減らします。

フィルター交換などランニング負担が増えやすい

移動式はフィルター捕集が前提の機種が多く、目詰まりによる風量低下が起きやすい点が弱点です。交換を先延ばしにすると、捕集性能が落ちるだけでなく、モーター負荷増で故障につながることもあります。

ランニングを抑えるには、プレフィルターで粗塵を取り、主フィルターの寿命を延ばす設計や、差圧計などで交換時期を見える化する方法が有効です。消耗品の入手性と費用、交換作業の手間まで含めて、トータルで運用できる機種を選びましょう。

移動式局所排気装置の価格・費用は?

移動式の費用は、必要風量、フィルター構成、用途(粉じん・ヒューム・臭気)、安全仕様(防爆など)で大きく変わります。一般に、本体価格だけでなく、現場での立上げ調整や使い方の教育、必要に応じた簡易測定なども含めて検討するのが現実的です。

運用面では、電気代に加えてフィルターや吸着材の交換費用が継続的に発生し、使用頻度が高いほどランニングが増えます。初期投資を抑えたい場合は、短期利用ならレンタル、長期ならリース、共有運用で台数を最適化するなど、導入形態を工夫すると総コストを下げやすくなります。

移動式局所排気装置の選びのポイント

移動式は「対象物質」「必要風量」「フード」「安全要件」の4点で失敗が決まります。選定基準を先に固定します。

対象物質と粒径に合うフィルター構成か

まず、何を捕集したいのかを明確にします。粉じんなら粒径と濃度、ヒュームなら微細粒子への対応、臭気や溶剤なら吸着材の適合が重要です。フィルターは等級が上がるほど捕集性能は高い一方、圧力損失が増えて風量が落ちやすくなります。

プレフィルターで粗塵を取って主フィルターを守る構成にするなど、寿命と性能のバランスも見ます。対象に合わない構成だと、交換頻度が増えたり、捕集できずに室内に残ったりするため、用途に対する仕様確認が最優先です。

必要風量の考え方と余裕率の取り方

必要風量は「発生源からの距離」「フード形状」「外乱気流」「発生量」に左右されます。移動式は設置がぶれやすいので、理論値ギリギリではなく、現場でのズレを吸収できる余裕率を見込むのが基本です。

また、フィルター目詰まりで風量が落ちる前提で、末期でも必要性能を満たすように設計します。風量調整ができる機種なら、作業に応じて最適化しやすく、騒音対策にもつながります。カタログ風量だけで判断せず、実使用条件で性能が出るかを確認することが重要です。

フードの形状と作業姿勢に合うか

移動式で最も差が出るのがフードです。捕集効率はフード形状と囲い込み具合で大きく変わり、同じ風量でも効果に差が出ます。作業者の姿勢やワーク位置に対し、フードが邪魔にならず、かつ発生源に近づけられる配置を作れるかを見ます。

アームの可動域、保持力、微調整のしやすさも重要で、使いにくいと結局使われなくなります。可能なら実機で、作業動線を崩さずに“適正距離”を保てるかを確認し、必要なら専用フードや囲いを検討します。

防爆や静電気対策など安全要件の確認

扱う物質や環境によっては、防爆仕様や静電気対策が必要になる場合があります。溶剤蒸気、可燃性粉じん、引火性のあるミストなどが関係する工程では、一般仕様の機器を使うとリスクが高まります。電装部の仕様、接地、火花源対策、フィルターの帯電、粉じん堆積など、現場の危険源に合わせて要件を整理します。

また、火花が出る工程では火災対策も重要です。安全要件は後付けが難しいため、選定初期に「必要かどうか」を判断し、必要なら対応実績のあるメーカー・施工会社に相談するのが確実です。

移動式の局所排気装置をお探しなら発散防止抑制装置もおすすめ

移動式の導入が難しい現場でも、代替手段として発散を抑える設備で対応できる場合があります。選択肢を広げて検討します。

発散防止抑制装置とは?

発散防止抑制装置は、有害物質が作業空間へ広がるのを抑えるために、吸着・分解・気流制御・囲い込みなどの仕組みで、作業環境の改善を狙う装置です。局所排気装置のようにダクト排気を前提としない構成もあり、建屋制約が強い現場や、工事が難しい環境で検討されることがあります。

重要なのは、単に機器を置くことではなく、対象物質や作業条件に対して、必要な安全性や管理水準を満たせるかを評価することです。導入時は、現場の課題と達成したい管理状態を整理し、適切な方式を選ぶことがポイントになります。

発散防止抑制装置のメリット

発散防止抑制装置のメリットは、ダクト工事が難しい現場でも選択肢になりやすく、レイアウト制約を受けにくい点です。発生源の囲い込みや気流の制御によって、拡散を抑えながら作業性を確保できる場合があります。

また、臭気や微粒子など複数の課題が同時にある現場では、方式を組み合わせることで改善を狙えることもあります。さらに、工程変更や増設時にも、設備の追加や設定変更で対応しやすいケースがあります。現場の制約が強いほど、局所排気一択にせず、達成手段として検討する価値があります。

発散防止抑制装置をお探しならベリクリーンエアへ!

発散対策は、装置の性能だけでなく、現場条件に合わせた方式選定と運用設計で結果が変わります。ベリクリーンエアなら、対象物質や作業内容、レイアウト制約を踏まえた提案により、拡散の起点を押さえる設計を検討しやすいのが強みです。

導入前に現場の課題を整理し、必要な捕集・抑制レベルや安全要件を確認したうえで、最適な機器構成を提案してもらうことで、過剰投資や性能不足のリスクを減らせます。移動式の局所排気装置が合わない場合でも、発散防止抑制装置という別解で、作業環境の改善を進めたい方は相談先として検討してみてください。

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